強迫性障害の不潔恐怖というのは、ある日突然ひどくなるわけじゃないんですよ。
一個ずつ、気づいていくんです。「あ、これも人が触ってる」「あ、ここも誰か来る」「あ、全部そうじゃん」——そうやって気づくたびに、自分が動ける範囲が少しずつ狭くなっていく。
今日はそんな話を書こうと思います。スーパーで「奥から取れば綺麗」と思えていた頃の私が、どうして今みたいになったのか。「気にしすぎだよ」と言われ続けてきた当事者が、正直に書く話です。
「奥から取れば綺麗」だった頃
以前の私は、スーパーで飲み物を選ぶとき、なんとなく棚の奥のほうから取っていたんですよね。誰も触っていないほうが綺麗な気がして、それだけで安心できていた。今思うと、あの頃はそれだけで十分だったんです。
今は、無理です。
棚の奥から取ったところで、意味がないんですよ。そこに並べた人がいるし、補充した人もいる。値段シールを貼った人、製造した人、検品した人、運んだ人——数えきれない人の手が、必ず触れているんですよね。全てのモノに、人の手が加わっている。
この事実に気づいてしまったとき、私の世界が変わりました。でも問題は、この「気づき」が一箇所にとどまらないということで。
気づきは、全ての場所に広がっていく
以前は気にならなかったんです。外食もしていたし、カトラリーも気にしていなかったし、コインランドリーも普通に使えていた。そんな時代があったんですよ、本当に。
それが、一個ずつ気づいていくわけです。最初は「人混みは怖い」「病院は怖い」、そういう「明らかに危ない場所」だけを避ければいいと思っていたんですよ。でも気づいていく。スーパーにも来るじゃないですか。コンビニにも来る。症状が出ていなくても、潜伏期間中の人間はどこにでもいるかもしれない。
以前は直接アレに関係する場所だけ強迫が発動していたのに、今は全ての場所で発動するんです。荷物が届くだけで。窓を開けるだけで。旦那が外から帰ってくるだけで。「これ、全部そうじゃん」と気づいてしまった日のことを、今でも覚えています。
では、実際の日常はどうなっているのか。具体的に話しますね。
「普通の買い物」が何時間もかかる
買い物から帰ると、玄関で止まります。袋の外側をアルコールで拭いて、中身を一個ずつ取り出して拭いて、袋は捨てて、手を洗って、服を着替える。それが終わって、やっと家の中に入れるんです。
普通の人なら数分で終わることが、何時間もかかります。「そんなに?」と思いますよね。そんなに、なんですよ。これが毎回のことで、もう当たり前になってしまっているんですが、改めて書くとなかなかですね。
でも、これはまだマシなほうで。歯医者の日に比べれば。
「でも歯医者には行けてるんですね」
歯医者に行く日は、朝から準備があります。まず服を選ぶんですが、これが「捨ててもいい服」なんですよ。どうせ帰ってきたら封印するか捨てるから、わざわざ着ていく服を専用にするんです。靴も同じ。財布は持っていかなくて、代わりにジップロックに現金だけ入れて持っていきます。
帰宅したら、服は脱いでそのままゴミ袋へ。消毒液を全身に。風呂に入って、その後はしばらく断食する。これを、歯医者に行くたびにやっています。
「でも歯医者には行けてるんですね」と言われたことがあるんですが——行けてるんじゃないんですよ。こうして行ってるんです。これのどこが「行けてる」なんでしょうか、正直聞いてみたい。
こういう話をすると、必ず言われる言葉があって。
「気にしすぎ」は、違います
「気にしすぎだよ」と言われます。よく。
違うんですよ。
全てのモノに人の手が加わっていることは、事実です。感染症が潜伏期間中の人間がどこにでもいる可能性があることも、事実。真実を真実として捉えているだけなのに、どうして「気にしすぎ」と言われなければならないのか、正直わからないんですよね。なぜこちらが、汚い側に適応しなければならないんでしょう。
「奥から取れば綺麗」と思っていた頃は、適応できていたんです。ただ、気づいていなかっただけで。気づいてしまった以上、もう戻れない。知らなかったふりができないんですよ、これが。
それが「気にしすぎ」と言われるなら、私はずっと気にしすぎたまま生きていくしかないと思っています。
まとめ
このブログを読んでくれているのは、私と同じように不潔恐怖や嘔吐恐怖症、強迫性障害に悩んでいる人だと思います。こういう症状を抱えている人って少ないと思うかもしれないんですが、SNSで声をかけてくれる人やマシュマロで匿名メッセージをくれる人が、意外と結構いるんですよ。一人じゃないんです。
一人でいると自分だけがこんなに大変で、この世界でいちばん不幸なんじゃないかって思ってしまうことがありますよね。私にもあります。毎日のように。でも、おかしくていいんです。普通の人からしたらおかしくても。
マシュマロに匿名でメッセージを送ってもらえます。こまめに返事はできないけれど、ちゃんと読んでいます。気が向いたときにぜひ。
この世界は汚すぎて、正直絶望的なんですが、その絶望の中でも一緒に悩みや辛さを共有して、たまには笑いに変えられたらいいなと思っています。そういう仲間を募集します。ちなみにだけど、アンチは消え失せな。ネチネチしつこいやつもな。ここは私と同じ苦しみを持つ者同士の場所だから。
今日も読んでくれてありがとうございました。こうやって読んでくれるあなたの応援で、私も助けられています。サでした。

